この事例の依頼主
50代 男性
Sさんは、20年以上もの間、妻からのモラハラに悩んでいました。夫婦の間には子どもが一人、長男がいましたが、妻から長男に対するモラハラも酷く、Sさんは、長男も守りながら、懸命に働き、家族を守ってきました。長男が成人になった時、妻の方から離婚を切り出され、Sさんもこれに応じることにしました。すると、妻は、早々に代理人弁護士を立てて、非常に高額な経済的請求に及びました。その要求は、例えば、高額な慰謝料や離婚後の生活費の要求、住宅ローンを財産分与で考慮しないことの要求など、法的な根拠にも疑問が生じるものが多く含まれていました。Sさんからすると、法律のことが詳しく分からないものの、できる限り、円満に離婚を成立させようと、自分なりに法律を調べながら、妻側の代理人弁護士とやり取りを重ねたのでした。しかし、最終的に妻側の代理人弁護士から示された内容も、Sさんからすると、とても納得できる内容ではありませんでした。ついには、Sさんも自分で対応していくことに不安を覚え、弁護士に相談に来られたのでした。
Sさんのお悩みは、①妻に慰謝料を支払う必要はあるのか、②離婚後にも元妻に生活費を支払う必要はあるのか、③住宅ローンは財産分与で全く考慮されないのか、④妻側の代理人弁護士からの提案は全て法的に根拠があるのか、という大きく4つがありました。これについて、弁護士からは、①慰謝料を支払う必要はないこと、②生活費も支払う必要はないこと、③住宅ローンは考慮すべきこと、④妻側の代理人弁護士からの提案に法的な根拠がないことを伝えました。そして、Sさんとしては、それまでの妻側の代理人弁護士とのやり取りに疲れ果て、自らも弁護士に依頼したいと話されました。ご相談の後、正式に弁護士が委任を受け、早速、弁護士が妻側の代理人弁護士との協議に着手しました。弁護士は、慰謝料や離婚後の生活費の支払いなど、法的根拠のない要求に応じる意向は全くないことを伝え、それまでの妻側の提案が適正であるのかを、調停手続きで裁判官に確認してもらうことでも構わない旨を伝えました。そして、同時に、調停手続きの申立ての準備を並行して進めました。すると、妻側からは、それまでの条件よりもかなり引き下げた内容で提案が出してきました。Sさんからすると、弁護士が介入した途端に、それまでの条件が大きく引き下げられたことに驚かれていましたが、弁護士からはこれが法的に適正な協議であることをお伝えしました。その後も、弁護士が交渉を重ね、妻が自宅を明け渡すことに加え、経済的請求についても数百万の減額に成功しました。最終的には、着手から概ね3か月ほどで、Sさんの納得できる条件が整理できました。そして、しっかりとした合意書面を残すため、弁護士は、あえて調停手続きを申立て、調停調書を作るところまで対応しました。離婚が無事に成立したことで、Sさんは20年以上続いた妻のモラハラから解放され、長男にも安堵してもらうことができました。今では、長男と共に、新たな人生を歩みだしています。
Sさんのように、ご自身で法律を調べながら離婚協議を進めようとされる方もおられます。しかし、自ら法律を調べて対応しようとしても、不十分な結果になることが多いでしょう。また、どうにか自分で対応しようとすると、Sさんのように離婚協議自体に辟易する方も多いです。中には、投げやりになって、非常に不十分な合意を取り交わし、後で後悔される方もおられます。弁護士は、そのような負担を解消するために、離婚協議の一切を代理することができます。自らで対応して後で後悔する前に、まずは一度弁護士に相談されることをお勧めいたします。Sさんは、投げやりにならずに、弁護士に相談されており、大変ご賢明であったと思います。これからのご多幸を心よりお祈りしたいと思います。