この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
依頼者(職業有、家族有)は強制わいせつ事件で逮捕されていました。ご家族の依頼を受け接見しました。
解決への流れ
本人が被疑事実を認めているケースでした。①証拠隠滅も逃走もしないこと、弁護人を通じてしか被害者への接触をしないことを約束する本人の誓約書、②本人を自宅に住まわせ監督し、被害弁償にも協力する旨の家族の身元引受書等を取得の上、裁判所に「勾留の必要がないこと」、「勾留した場合の多大な不利益を受けること」内容とする申入書を提出する等勾留阻止の弁護活動を行った結果、検察官からの勾留請求が却下されました。勾留却下に対して検察官は準抗告をしましたが、勾留却下の判断が維持され、逮捕から2日後に釈放されました。その後は在宅事件として捜査を待つ立場になりましたが、被害者の方と示談が成立し、不起訴処分(起訴猶予)となりました。依頼者は公人ではありませんでしたが、逮捕直後、新聞に事件記事が実名で掲載され、同新聞のデジタル版にも掲載されインターネットで見られる状態にあったため、釈放後、新聞社へ削除していただくよう申入れを行いました。その後、記事が削除されインターネットで検索しても出てこないようになりました。
被疑事実を認めている案件(自白事件)であったため、家族の協力を得て、急いで勾留阻止の準備を整え、翌日勾留阻止を得ることができたケースです。自白事件だったこと、同居の家族がいたこと、定職があったこと等が考慮されたものと考えます。身体拘束が無用に長引けば、仕事面等でも大きなダメージを受け、社会復帰を阻害しかねません。そうなってしまえば、経済的な収入が断たれ、場合によっては被害弁償が難しくなってしまう場合もあります。また、このケースでは、逮捕直後、警察の発表により新聞(地方版)に実名の記事が掲載され、同記事がインターネット配信されるデジタル版に掲載されてしまっていました。議員・公務員等,公職者(公人)の犯罪の場合は、報道に対する社会的要請から実名報道が必要とされる場合があります。他方、公人でない者の犯罪の場合、勿論ケースにもよりますがむやみに実名報道がなされることは社会からの偏見等もあり、本人の更生を阻害しかねません。このケースではご家族から相談を受け、新聞社に申入れを行ったところ、新聞社の判断で削除していただくことができました。実名報道に対する削除要望等に対する対応は報道機関によって異なっており、申入れれば必ず削除されるというものではありませんが、そのようなアプローチをした結果、結果が得られたケースでした。